子育て
子どもの喧嘩に親が出る

兄弟喧嘩は、その年齢が低ければ低いほど、そして年齢が近ければ近いほど、喧嘩をするものです。寄るとさわると喧嘩をしている兄弟であっても、家庭から離れると、かばい合い、上の子は下の子の面倒を見ますし、下の子も上の子に従っています。あるいは母親のいない日には、家の中で仲良くしていることが多いでしょう。それは、母親が子どものけんかに口を出したり、手を出したりすることがないからです。

友達を求めて積極的に遊ぼうとする年齢は3,4才ですが、それ以後、たびたび友達とけんかをくり返しながら、自己主張の方法や協調して遊ぶ方法を学習していくのです。けんかをしなければそれらの方法を学習することは出来ません。

とくに、自発性が確立してきますと自己主張も多くなりますから、けんかも多くなります。遊びにも全身を打ち込んでいる子どもは、なかなか友達に譲ることが出来ません。ですから、激しいけんかをします。その意味で、激しいけんかをする子どもが「よい子」と言うことが出来るのです。

このような子どもは大人が介在しない限り、けんかをしても、またすぐ遊びます。子どものけんかに大人が出るなということを、固く守りたいものです。まして、けんかをしてすり傷や掻き傷を負わされても、「誰がしたの?」などと問いただすような情けない親にはならないように努力しましょう。

最近の両親のなかには、子どものけがを見るとすぐに相手の家に電話をかけたり、学校へ連絡したりします。このような両親は、きまって過保護です。それが、自分の子どもを精神的虚弱児にしてしまっていることに気づいていないのです。

そのような親たちに押しまくられて、教師の側でも腰がくだけ、「申し訳ありません」と言って謝ったり、けがをさせないようにと真綿で子どもを包んだように過保護に扱っているのも、実に情けない教育状況だというほかありません。いきいきと活動している子どもは、どうしてもけがをします。「よい子」には教師が注意をしていても、けががつきものだと言ってもよいでしょう。

けんかを忘れた子どもたち:平井信義:PHP文庫