子供の教育
反抗期
お母さんが頭を悩めて作ったごちそうは、熱心に食べて欲しいと願うことになるでしょう。無理をしてでも、多くの量を食べて欲しいと、強制したくなるものですそのようなお母さんの態度に対して、子供はどのように反応するでしょうか。はっきりと拒否をする前に、食事中に遊んだり、ゆっくりゆっくり食べたりする。なかには食事が一時間以上かかるという子供も現れます。お母さんにしてみれば、さっさと食べて欲しいでしょう。さもないと台所がかたづきません。そこで、「早く食べなさい」とせかす。ところが、なかなかそれに従いません。幼い子供であれば、むりに口の中に入れると、少しは食べてくれるかも知れませんが、それも一時的ですし、年齢の高い子どもになると、お母さんの言うことをきこうとはしないでしょう。ついに、お母さんと子どもの間には、食事をめぐって争いが起きてしまいます。食事を強制しようとするお母さんとそれを拒否する子どもとの間の葛藤です。この葛藤は、食事を楽しいものとすることを妨げてしまいます。食卓は、団らんの場として大切なはずなのに、暗い雰囲気が漂ってしまいます。

このような葛藤の後に、ついに子どもの「食欲不振」は固着してしまいます。お母さんはあきらめムードとなり、子どもは食事に対する積極的な興味を失ってしまいます。「いつも素直」は子どもの危険信号両親も教師も、子どもに対して素直であって欲しいと願うでしょう。果たしていつもハイハイと親や教師の言うことを聞く「いつも素直な子」がよい子なのでしょうか。しかし、周囲のものにほめられようとして行動しているだけで、自分なりに考えるという自発性の発達が阻害されてしまっている子は「偽りのよい子」です。これを、外面的には適応しているが、内面的な自発性は未成熟な子ども、と呼んでいます。3才前後の反抗期は、第一反抗期と呼ばれ、子どもの発達には必要な時期です。自発性が発達し、自分なりに考えて自分の力で行動しようとするために、周囲の家族との衝突が起きるのです。きちんと第一反抗期があり、その後もくり返しくり返し反抗現象を示す子どもが「よい子」です。それによって、自発性が著しく伸び、自分で考える力を持った子供に成長するのです。素直という心のあり方を、単に外面的にとらえるのではなく、内面的にもとらえることが重要です。子どもらしい内面的な行動は、決して「いつも素直」などという行為となって現れてくるわけではありません。「いやだ」ということや、いたずらをしたりやんちゃをしたりすることに、「よい子」の姿を認めることが必要です。

けんかを忘れた子どもたち:平井信義:PHP文庫